セッション

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ディスカッションセッション

<ディスカッションセッションとは>
例年の夏の学校ではポスター講演やコーヒーブレイクなどを通じて、参加者同士が積極的に議論しやすい環境となっていました。今回の夏の学校はオンライン開催になりましたが、同様に参加者同士の議論を促進するためにディスカッションセッションを設けることにしました。ディスカッションセッションは議論の端緒となるように、大まかなテーマ設定とそれに関する導入講演が予定されています。導入講演の後にブレイクアウトルームに分かれて、少人数での議論・交流を行って頂きます。このディスカッションセッションは、参加者の交流の輪を広げるだけでなく、参加者が多角的な視点を持つことに繋がる場になると考えています。

コンパクト天体
・宇宙素粒子
分科会
2日目
テーマ: 観測・理論・シミュレーション研究による相互理解
内容: 観測屋、理論屋それぞれの立場から、現状何が課題であり、将来どんな観測・シミュレーションが実現すれば何がわかるのか議論する。両者の研究の相互理解を深める。

4日目
テーマ: 最近新たに注目されている現象や手法
内容: 参加者、あるいはその周囲で、最近になって新たに注目されるようになった天体、現象、研究手法について議論する。
観測機器
分科会
2日目
テーマ: 波長の壁を超えて その1
内容: 本セッションでは様々な波長帯の観測装置への理解を深めるとともに波長を超えた交流を深めることを目的とする。最初に座長団の方で各波長帯 (X線、中性子ガンマ線、電波) の観測装置事情について、自身の研究内容を元に導入講演を行う。その後参加者を5人程度の少人数グループに分けたのち、各々の研究紹介を含めた議論や討論を行う。

4日目
テーマ: 波長の壁を超えて その2
内容: 本セッションでは様々な波長帯の観測装置への理解を深めるとともに波長を超えた交流を深めることを目的とする。最初に座長団の方で各波長帯 (可視赤外、X線偏光、CMB) の観測装置事情について、自身の研究内容を元に導入講演を行う。その後参加者を5人程度の少人数グループに分けたのち、各々の研究紹介を含めた議論や討論を行う。
銀河・銀河団
分科会
2日目
テーマ: 次世代計画で将来できるようになるサイエンス
内容: 次世代計画 (すばるPFS, ULTIMATE-Subaru, TMT, ngVLA, ALMA2..など) で将来できるサイエンスについて理解を深めていただく予定です。冒頭講演ではいくつか例を紹介します。

4日目
テーマ: 機械学習と天文学
内容: 近年脚光を浴びつつある機械学習を利用して天文学において何ができるようになったのか・今後できそうかについて理解を深めていただく予定です。冒頭講演ではいくつか例を紹介します。
星間現象
分科会
2日目
テーマ: 多波長観測で探る星間現象
内容: 星間現象は様々な波長を使って研究されていますが、波長が違えば見える現象も全く異なります。各波長で宇宙がどのように見えるか、どのような天体現象が見えるか議論し、それぞれの波長帯における研究で注目されるトピックを共有できればと思います。

4日目
テーマ: 理論、観測の双方から探る星間現象
内容: 星間現象は理論、観測の両面から研究されてきました。このセッションでは、はじめに銀河内における星間現象を概観し、次に理論研究、観測研究の橋渡しのための知識を共有しながら、個別の天体現象についての理解を深めます。
星・惑星形成
分科会
2日目
テーマ: 観測的研究と理論的研究でお互いに求めていること
内容: 観測結果の解釈に必要なシミュレーション、シミュレーションのために観測からわかると嬉しいことなどを話し合う。

4日目
テーマ: 招待講演についての議論
内容: 招待講演で質問できなかったことや理解できなかったことを質問しあう。
太陽・恒星
分科会
2日目
テーマ: 機械学習とこれからの太陽研究
内容: 昨今の機械学習による太陽研究の紹介 (機械学習でできること、太陽での紹介) を行い、学生間で今後の発展について議論する。

4日目
テーマ: 恒星分野と太陽分野の接続
内容: 恒星分野と太陽分野で情報交換をし、お互いの知見を共有する。例えば、太陽は空間分解されたスペクトル線と積分されたもの両方を詳細に知っている。一方で恒星分野は様々な恒星での (積分された) スペクトル線を知っている。
重力・宇宙論
分科会
2日目
テーマ: 招待講演の理解を深める議論
内容: このセッションでは、招待講演がどんな内容であったかをおさらいし、疑問に思ったことや理解を深めたいことを少人数で議論します。

4日目
テーマ: 招待講演の理解を深める議論
内容: このセッションでは、招待講演がどんな内容であったかをおさらいし、疑問に思ったことや理解を深めたいことを少人数で議論します。

セッション

7つの分科会に分かれてセッションを行います。
ここではそれぞれの分科会について紹介しています。

コンパクト天体・宇宙素粒子分科会

タイトル集え、宇宙の開拓者(パイオニア)!!
座長団道籏 皓平(早稲田大学 M2), 鹿内 みのり(東京大学 M2), 栗山 直人(東京大学 M2),
古野 雅之(京都大学 M2), 吉武 知紘(京都大学 M2), 斎藤 晟(東北大学 M2)
紹介文 宇宙の高エネルギー現象はしばしば、可視光だけではなく電波からガンマ線、さらには重力波やニュートリノ、宇宙線などの放射の時間発展に基づいて理解される。 その最たる例が近年観測された連星中性子星合体であろう。 LIGOやVirgoによる重力波検出GW170817を皮切りに電磁波での継続的な追観測がなされ、その放射源の正体やr-process元素の起源、ショートガンマ線バーストの機構への示唆がもたらされた。 このように電磁波に加えて重力波、さらにはニュートリノなどの観測に基づいて宇宙の現象を理解する試みはマルチメッセンジャー天文学と称される。 さらに天体現象の時間進化をフォローアップする取り組みは時間軸天文学と呼ばれ、近年これら2つの新しい天文学が産声を上げた。
 マルチメッセンジャー天文学、時間軸天文学が対象とするのは連星中性子星合体にとどまらない。 宇宙における高エネルギー現象すべてがターゲットといっても過言ではなかろう。 そして重力波放射、超新星爆発、ガンマ線バースト、高速電波バースト、キロノバなどの高エネルギー現象には、白色矮星や中性子星、ブラックホールといったコンパクト天体が付随することが多い。 すなわち、宇宙におけるコンパクト天体の現象が、電磁波、重力波、ニュートリノ、宇宙線に基づいて次第に深く理解されることが期待できる。
 我々の究極の使命は、宇宙の高エネルギー現象を理論・観測の両面から完全に解明することである。 マルチメッセンジャー天文学・時間軸天文学の黎明期にある現代は、この課題に取り組むための絶好の時代といえよう。 その最中で、本分科会ではコンパクト天体・宇宙線の現象に関する多種多様な講演や議論の場を設ける。 本分科会が参加者にとって有意義な経験となること、その後の研究活動に対するインスピレーションをもたらすことを願うばかりである。
招待講師大神 隆幸氏(甲南大学)
大須賀 健氏(筑波大学)
注釈振り分け基準
・アブストラクトから期待される発表内容を重視して振り分けます。
・同程度の内容が複数ある場合、レビューより自身の研究発表の方が振り分けの上で若干優遇されます。 レビュー同士では、自身の研究目的に繋がっているような(新たな考えなどがある)場合の方が優遇されます。 つまり、 自身の研究 > 自身の研究に繋がるレビュー > 単なるレビュー の順で振り分けは若干優遇されます。
・以上の基準から判断して同程度の優先度だった場合に限り、M1が優先されます。
守備範囲
超新星爆発や中性子星、白色矮星は、激変星(新星や矮新星)を含め、コンパクト天体・宇宙線分科会で扱います。 活動銀河核(AGN)のブラックホールとしての挙動やジェットに注目する場合はコンパクト天体・宇宙素粒子分科会で扱いますが、 AGNホスト銀河やAGNと銀河の共進化については銀河・銀河団分科会で扱います。 相対論の基礎理論に関する話題は重力・宇宙論分科会で扱います。 重力波や高エネルギー粒子(ニュートリノ含む)は、コンパクト天体(付随するジェット等も含む)による現象についてはコンパクト天体・宇宙素粒子分科会で扱いますが、ダークマター・インフレーション起源の現象については重力・宇宙論分科会で扱います。 Fast Radio Burstについての話題は、起源に着目したものについてはコンパクト天体・宇宙線分科会で取扱います。 また、宇宙素粒子に関わる話題は広くコンパクト天体・宇宙素粒子分科会で扱います。 具体例としては、パルサー星雲、最高エネルギー宇宙線、背景放射、未同定天体、などです。 ただし、超新星残骸や星間空間における宇宙線の伝搬に関しては、星間物質との関わりが深いため、銀河系内宇宙線と関わるものも含めて、星間現象分科会で扱います。
キーワード大カテゴリ:「コンパクト天体」「宇宙素粒子」
小カテゴリ:「ガンマ線バースト」「超新星爆発」「ジェット」「白色矮星」「激変星」「中性子星」「天体としてのブラックホール」「強磁場」「連星合体」「重力波」「高エネルギー粒子」「ニュートリノ」「ガンマ線」「Fast radio burst」

観測機器分科会

タイトル観測機器-テクノロジーの継承と革新-
座長団長澤 俊作(東京大学 M2), 野橋 大輝(名古屋大学 M2), 村田 雅彬(東京大学 M2),
山崎 康正(大阪府立大学 M2), 飯塚 悠太(東北大学 M2), 川本 莉奈(鹿児島大学M2),
芳野 史弥(中央大学M2)
紹介文 今日の天文学は、電波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線といった電磁波のみならず、ニュートリノ、さらには重力波といった様々な観測手段を用いて盛んに研究が行われています。近年もEHTによるブラックホールの直接撮像成功、日本でも重力波望遠鏡KAGRAが観測を開始するなど、我々の研究が未来の天文学を切り開いています。 それらの新たなサイエンスの発見には、従来の観測手法や機器の改善・発展が必要不可欠です。 そして今後の新たな技術開発のためには、観測機器や手法の原理の理解はもちろん、開発の先のサイエンスの理解、並びに他分野の研究者との交流が鍵となるのではないでしょうか。
 本分科会では、日本が世界に発信する最先端の観測機器の技術開発について、サイエンス、ハードウェア、ソフトウェアという3つの観点から理解を深め、互いに議論する場を設けます。 多岐にわたる研究分野の中で、多くの学生と議論を交わし、互いを高め合える場となることを期待しています。是非ご参加ください。
招待講師武田 伸一郎氏(Kavli IPMU)
注釈振り分け基準
1. 自身の行った実験や評価試験の発表のみでなく、開発しているハードウェア/ソフトウェア(レビューであれば対象としているもの)の背景と新規性を理解していることを求める。
2. M1の優先は行わない。
3. 応募数が定員数を上回った場合、アブストラクトを参考に振り分けを行う。
守備範囲
望遠鏡・検出器等のハードウェアの開発および機器制御等のソフトウェア開発に関するものは基本的に観測機器分科会で扱う。
開発する装置が目指す科学目標に話の重点を置く場合は、それに該当する分科会で扱う。
キーワード大カテゴリ:「ハードウェア開発」「ソフトウェア開発]
小カテゴリ:「電波・CMB」「赤外線」「可視光」「紫外線」「X線」「ガンマ線」「重力波」「宇宙線・ニュートリノ」

銀河・銀河団分科会

タイトルまだ見ぬ銀河の姿を求めて..
座長団山本 直明(東北大学 D1), 牛尾 海登(京都大学 M2), 瀬戸口 健太(京都大学 M2),
磯部優樹(東京大学M2), 梶川 明祐実(北海道大学 M2),
美里 らな(奈良女子大学 M2), 城 知磨(愛媛大学 M2),
中野 すずか(総合研究大学院大学 M2), 青山 晧平(東北大学 M2)
紹介文 近年の地上大型望遠鏡や宇宙望遠鏡の活躍により、近傍から遠方宇宙にかけて銀河・銀河団の理解は飛躍的に深まってきた。ガンマ線から電波の多波長観測の発展も目覚ましく、同じ天体でも全く異なる様相が暴かれてきている。今後は次世代望遠鏡(TMT, JWST, WFIRST, ngVLA, eROSITA, CTAなど)の台頭により、我々がまだ見ぬ銀河の姿が多角的に解き明かされていくことだろう。一方で、理論的研究においては、計算手法や計算機の性能の発達によって、観測が難しい小さなスケールの物理や様々な時間スケールでの銀河進化を予測できるようになった。銀河形成や宇宙の大規模構造などといった大局的な課題解決を行なっていくためには、このような観測と理論の双方で得られる知見を相補的に駆使していく必要性がある。
 しかしながらその反面、研究が細分化され包括的な理解が難しくなっている一面もあるのではないだろうか。銀河・銀河団・活動銀河核やその構成要素である星・ガス・暗黒物質は互いに深く関わっているので、本来は個々の分野を横断した理解が必須である。そこで本分科会では銀河系、近傍銀河、遠方銀河、AGN及び銀河団全般の垣根を超えた学び・議論の場を提供したいと考えている。夏の学校を通して互いに高め合える仲間と出会い、皆様の今後の研究生活がより豊かなものになることを強く期待している。そして近い将来に本分科会で得られたものを礎に、先人がかつて見てこなかったフロンティアを開拓して欲しいと願う。
招待講師澁谷 隆俊氏(北見工業大学)
諸隈 佳奈氏(東京大学)
注釈振り分け基準
・講演は主に「アブストラクト・学年・研究の独自性」を基準に振り分ける。
・アブストラクトは完成度が高いもの、学年は低学年ほど優先される。
・(1)独自の研究 > (2)独自の解釈等を含むレビュー講演 > (3)レビュー講演 の優先順位とする。(2)に該当する場合は、アブストラクトにその旨を明記すること。
・分野ごとに講演の数が偏っていた場合は調整を加える可能性がある。
守備範囲
次の項目は当分科会で扱います
・活動銀河
・球状星団を1つの系としてみる場合など
・超大質量ブラックホール、AGNと銀河の共進化
・系外銀河内の星形成あるいは銀河系内のkpcスケールに関連する星形成活動
・Mpc以下のスケールの構造形成について、その構造をトレースするものが銀河である場合(例えば銀河団、銀河クラスタリングなど)
・銀河形成に関連するフィードバック(SN, AGN, 大質量星による輻射等)
・銀河/AGNによる宇宙再電離への寄与
・銀河間物質と銀河進化の関係
次の項目は、当分科会で扱いません
・Gpc以上の大スケールの構造形成→重力・宇宙論分科会等
・AGNのブラックホールとしての挙動やジェットに注目する場合→コンパクトオブジェクト分科会等
キーワード・銀河系
・矮小銀河
・近傍銀河
・遠方銀河
・活動銀河(AGN)
・銀河群・銀河団
・球状星団
・星形成(系外 or 系内のkpcスケール以上)
・化学進化(系外 or 系内のkpcスケール以上)
・銀河形成

星間現象分科会

タイトル僕はついて行けるだろうか、星間物質進化のスピードに。
座長団前田 龍之介(名古屋大学 D1), 西野 将悟(名古屋大学 M2), 小橋 亮介(京都大学 M2),
畠内 康輔(東京大学 M2), 渡邊 裕人(慶應義塾大学 M2), 宇留野 麻香(慶應義塾大学 M2)
紹介文 銀河は主に星とその間を満たす星間物質から構成されています。銀河内の物質は星間物質から星へ、星から星間物質へと姿を変えることにより進化していくため、星間物質の物理現象を理解することは銀河進化の理解に不可欠です。星間物質は主にガスとダストなどからなり、周囲の環境によってコロナガス、HIIガス、HIガス、分子雲、などの温度や密度が大きく異なる様々な姿をとります。そこでは加熱と冷却、化学反応、乱流、衝撃波などの多彩な物理現象がおきており、これらの現象を観測・理論の両方から明らかにすることが星間物質の進化を理解する上で重要です。そのため観測分野では、銀河系内を中心に電波からγ線までの多波長で観測を行うことで星間現象を理解する試みがなされています。 その観測は、SKA(センチ波)、ALMA(サブミリ波)、SPICA(赤外線)、TMT(可視光,赤外線)、XRISM(X線)、CTA(γ線)などの新時代の望遠鏡によってさらに進展すると考えられます。一方理論分野では、高性能計算機を用いて磁場の影響、分子雲衝突、不安定性の非線形解析などの数値シミュレーションが行われています。 以上のように、多波長による観測とシミュレーションを通した理論を総合的に結びつけて考察することで、星間現象についての理解が深まり、銀河内の物質進化を解明することができます。
 本分科会では、主として観測・理論を問わず銀河内の詳細な星間現象について、星の母天体である分子雲から超新星残骸まで様々なものを取り扱います。 招待講演では星間現象の分野の最先端で活躍されている講師の方々を招き、星間現象の面白さや最新の成果、問題点などについて講演していただく予定です。
招待講師竹川 俊也氏(神奈川大学)
霜田 治朗氏(名古屋大学)
注釈振り分け基準
・アブストラクトから期待される発表内容を重視して振り分けます。
・レビューより自身の研究発表の方が振り分けの上で優遇されます。 レビュー同士では、独自の解釈・主張が含まれる発表の方が優遇されます。 つまり、 自身の研究 > 自身の研究に繋がるレビュー > 単なるレビュー の順で振り分けは優遇されます。
・以上の基準から判断して同程度の優先度だった場合に限り、M1が優先されます。
キーワード大カテゴリ:「超新星残骸」「星形成領域」「分子雲」
小カテゴリ:「メーザー」「PAH」「CMZ」「フィラメント」「分子雲衝突」「星間乱流」「星間磁場」「ダスト」「惑星状星雲」「光解離領域」「HII領域」「HIガス」

星・惑星形成分科会

タイトル星惑星形成の最前線
座長団原田 直人(九州大学 M2), 東 翔(甲南大学 M2), 紅山 仁(東京大学 M2),
吉田 大輔(名古屋大学 M2), 吉田 雄城(東京大学 M2)
紹介文 本分科会では、分子雲コアの収縮による星や原始惑星系円盤の形成、円盤内における惑星形成に関する物理現象、太陽系内および太陽系外天体の形成史や表層・内部構造に関する研究を扱います。 この分野では、観測・探査技術の進歩が著しく、赤外線・電波での観測による原始惑星系円盤の詳細な構造の検出、系外惑星大気の分光観測、太陽系内衛星の表層・内部構造の解明といった結果が報告されています。 例えば、引き続き行われているALMAの観測によって、複数の天体に原始惑星系円盤の多重リング構造・スパイラル構造が発見されており、そのいくつかの天体では惑星の存在が示唆されています。 プロキシマケンタウリ周りでの惑星検出といった太陽近傍における惑星の発見、エウロパでの水蒸気噴出の発見などが報告されています。
 また、太陽系外でも多くの惑星が見つかっており、2018年8月にはNASAの系外惑星探査衛星ケプラーによって一度に44個もの系外惑星が発見されました。 見つかった系外惑星の総数は増加の一途をたどっており、今や約4000個近くの惑星が太陽系の外に存在しているということが明らかになっています。 更に、同年10月には、JAXAの小惑星探査機はやぶさ2の小型機「MASCOT」が、小惑星リュウグウへの着陸を成功させ、リュウグウ表面の科学観測を成功させたというニュースが世界を駆け巡りました。 そして、現在計画が進行中のJWST等の次世代望遠鏡による初代星の発見や、銀河形成期における星形成に関する観測にも期待が集まっています。
 観測結果を検証するため、時には理論的予言をすることで、観測計画の提案をするという点で理論研究も発展してきています。 例えば、輻射流体や磁気流体での、長いタイムスケールの三次元星形成シミュレーション、ダストの自己重力不安定性による微惑星形成モデル、原始惑星同士の巨大衝突による衛星系形成シナリオなどが挙げられます。
 これらの観測・探査・理論研究の目覚ましい成果は相互の進展に大きく寄与することは言を待ちません。 本分科会に参加される、新時代の研究を担う皆様には、夏の学校での発表や議論を通じて観測や理論といった枠にとらわれずに視野を広げ、今後の研究に役立てて頂くことを期待します。
招待講師徳田 一起氏(大阪府立大学)
小久保 英一郎氏(国立天文台)
注釈振り分け基準
● 自身の研究 > 自身の研究に繋がるレビュー > 単なるレビューで優先する。
● 基本的に修士1年の学生の発表を優遇する。
● 修士2年以上の発表はアブストラクトによって判断する。
守備範囲
水素燃焼する質量の星は太陽・恒星分科会で扱います。 サブpc スケールの分子雲コアやアウトフローは星・惑星形成分科会で扱いますが、pc スケールの星形成領域や分子雲などは星間現象分科会で扱います。 ここで扱うフィラメントは分子雲内に見られる、線状高密度領域を指します。 フィラメントについて、フィラメントの分裂は星形成の初期条件を決めており星形成分野において非常に重要です。 よってフィラメントの分裂を議論する研究においては、星・惑星分科会で扱います。
キーワード大カテゴリ:「星形成」「惑星形成」「惑星科学」
小カテゴリ:「フィラメント」「原始星」「褐色矮星」「太陽系外惑星」「巨大衝突」「分子雲コア」「太陽系形成」「原始惑星系円盤」「周惑星円盤」「太陽系内天体」「アウトフロー」「前主系列星」「微惑星形成」「軌道進化」「惑星環境・惑星大気」「宇宙生物学」「惑星・衛星内部構造」「デブリ円盤」

太陽・恒星分科会

タイトル汝が為に星は光る
座長団村上 享平(名古屋大学 M2), 岡本 壮師(京都大学 M2), 木村 なみ(京都大学 M2),
田中 宏樹(京都大学 M2), 冨野 芳樹(京都大学 M2), 甲斐 達也(東京大学 M2),
谷 竜太(東京大学 M2)
紹介文 近年の太陽・恒星研究では、数多くの新しい観測が計画・実行されてきています。 太陽分野では、Hinode衛星をはじめ、SDO衛星、IRIS衛星、CLASPロケットなどによる太陽表面や上空の微細構造の観測が行われ多くの成果を上げてきました。 最近ではALMAによる成果も出始め、DKIST、Parker Solar Probeも観測を開始し、今後の成果が期待されます。 さらにSolar-C_EUVSTやPhoENiX、といった次世代の衛星プロジェクトも計画されています。 一方、恒星分野では、これまで近赤外線帯域のすばる望遠鏡やKepler衛星、X線帯域のMAXIやCHANDRA衛星、電波帯域のVLAや野辺山45m望遠鏡などが観測に用いられてきました。 加えて近年にはNICER衛星、TESS衛星、せいめい望遠鏡が観測を開始し、今後は、ひとみ後継機による恒星観測も期待されています。
 このような観測の多様化により、太陽、恒星、さらには惑星の研究者が互いに手を取り合って前に進む時代が来ており、観測だけでなく、装置開発、理論・数値シミュレーションの総合力をもって問題の解決に挑む必要があります。
 本分科会では太陽・恒星の幅広いテーマを取り上げ、広い角度から太陽・恒星の全体像を把握することを目指します。 さらに招待講演では太陽・恒星分野の第一線で活躍されている研究者を2名招待し、最新の研究を紹介していただきます。 最先端の研究を肌で感じ、参加者のさらなる研究意欲をかきたてられることでしょう。 これらの試みにより、専門分野を超えた知識の共有や新たな発見が生まれ、本分科会が日本における太陽・恒星の研究をさらに加速させるエネルギー源となることを期待しています。
招待講師本田 敏志氏(兵庫県立大学)
堀田 英之氏(千葉大学)
注釈振り分け基準
1. 論文のレビュー公演は歓迎するが、独自の研究発表に対しては優先順位が下がる。また、レビュー公演でも独自の考察があるものは、それがないものに対して優先度が上がる。よって、アブストラクトの段階で研究発表なのかレビュー公演なのか明記しておくこと。レビュー公演で独自の考察があれば、その点も明記すること。
2. 基本的には夏の学校の発表経験のない者を優先するが、アブストラクトの完成度も考慮する。
守備範囲
・個々の恒星の性質を用いた議論(金属欠乏星など)は太陽・恒星分科会で扱います。
・連星・矮新星は太陽・恒星分科会で扱います。
・惑星系を持つ恒星自体に関する研究は太陽・恒星分科会で扱います。
・恒星の集団(球状星団や銀河など)は銀河・銀河団分科会で扱います。
・白色矮星はコンパクト天体・宇宙素粒子分科会で扱います。
・超新星爆発や中性子星はコンパクト天体・宇宙素粒子分科会で扱います。
・水素燃焼が始まる前の原始星は星・惑星形成分科会で扱います。
・水素燃焼しない褐色矮星は星・惑星形成分科会で扱います。
キーワード大カテゴリ:「太陽」「恒星」
小カテゴリ:「太陽・恒星内部」「光球」「彩層」「磁場観測」「コロナ」「太陽・恒星風」「ダイナモ」「宇宙天気」「プロミネンス」「フレア」「質量放出」「恒星大気」「主系列星」「惑星状星雲」「恒星進化」「変光星」「脈動」「磁気リコネクション」「黒点」「化学組成」「連星」「矮新星」

重力・宇宙論分科会

タイトル未解明の宇宙論・重力理論に立ち向かう探求者たちへ
座長団三嶋 洋介(立教大学D1), 上田 和茂(九州大学 D1), 岡野 創(東京工業大学 D1),
村上 広椰(名古屋大学 M2), 太田 渓介(東京学芸大学 M2),
迫田 康暉(名古屋大学 M2), 間仁田 侑典(京都大学 M2)
紹介文 我々が生きる広大な宇宙の進化は、標準宇宙モデルを用いて説明される。標準宇宙モデルによれば、宇宙はインフレーションと呼ばれる急激な加速膨張期に始まり、再加熱というエネルギーの転化によって減速膨張期へと接続して以降、ビッグバン元素合成、宇宙の晴れ上がり、暗黒時代、初代天体の形成、宇宙再電離期を経て、階層豊かな構造を持つ現在の姿へと移り変わってきたと理解される。このようなシナリオは宇宙マイクロ波背景放射や宇宙の大規模構造の精密な観測を矛盾なく説明できることからも支持されている。しかし、インフレーションの直接的証拠は現在見つかっていない。そればかりか、初代天体形成から宇宙再電離期に至る過程や構造形成を担う暗黒物質の正体は謎に包まれており、Ia型超新星の観測によって明らかとなった現在の宇宙の加速膨張の起源を充分に説明することも適わない。これらの謎を解明することは現代宇宙論における最重要課題である。
 また、宇宙を舞台にした重力理論の研究も盛んに行われている。水星の近日点移動や重力レンズ効果の予言と整合する観測を得たことで、重力の基礎理論は(ニュートン重力にとって代わり)一般相対論が支持されるようになった。これは一般相対論を用いて弱重力場の現象を矛盾なく説明できることを意味する。そして近年、ブラックホール連星や中性子星連星の合体により生じた重力波が検出されたことで、一般相対論は弱重力場だけでなく強重力場における現象も矛盾なく説明できる理論であることがわかってきた。しかし、一般相対論のもとで現在の宇宙の加速膨張を説明するためには、未知なるダークエネルギーの存在が要請される。それだけでなく、一般相対論はくりこみ不可能なために重力場の量子化を行えないと言った問題が指摘されている。こうした不自然さに対し、一般相対論が宇宙論的長距離で変更されると考え、未知のエネルギーを導入せずとも加速膨張が起こるような修正重力理論を用いて前者を説明する試みが存在している。また、場の変数の取り替えを検討するループ量子重力理論や統一理論から量子重力を考えると言った様々なアプローチで、後者の問題の解決を図ろうとする研究も行われている。だが、一般相対論の不自然さを解消する手立ては今も明らかになっていない。一般相対論を超える新しい重力理論の正当性を検証するには強重力場現象の観測が有効であり、新たな検証道具を手に入れた現在はその正体に迫ろうとする動きが盛んである。
 本分科会では、宇宙論・重力理論が抱える未解明事項に取り掛かる全ての研究発表を歓迎し、参加学生が議論できる場を設ける。幅広いテーマについて活発に議論を行うことで、本研究会が各々の視野を広げるきっかけとなることを期待する。
招待講師小林 努氏(立教大学)
小松 英一郎氏(マックス・プランク宇宙物理学研究所)
注釈振り分け基準
・アブストラクトの完成度(研究の背景、研究成果、研究の独自性を総合的に評価したもの)をもとに振り分ける。
・完成度が同程度である場合は、研究成果が分かるものを優先する。
・レビュー講演も認める。ただし今後の自分の研究にいかに繋がるのか明記されていることを評価する。
守備範囲
以下のテーマは、重力・宇宙論分科会で扱う。
・宇宙論的なスケールにおける宇宙の時間発展、構造形成に関連する問題
・インフレーション周辺の初期宇宙に関する問題
・ブラックホールや重力波等に関連する問題
・ダークマター、ダークエネルギーに関連する問題
・修正重力、量子重力、余剰重力等に関連する問題
キーワード大カテゴリ:「重力理論」「相対論的宇宙論」「観測的宇宙論」「素粒子論的宇宙論」
小カテゴリ:「Einstein重力」「analog gravity」「ダークマター」「重力波」「再加熱」 「修正重力理論」「ブラックホール」「ダークエネルギー」「初期宇宙」「CMB(宇宙マイクロ波背景放射)」 「量子重力」「ホログラフィー原理」「重力レンズ」「インフレーション」「宇宙再電離」 「21cm線」「大規模構造」「ニュートリノ」